The Unnoticed Object

気づかれない物体

気づかれることなく、私たちの生活の中に消えていく物もある。ドアに立てかけられた傘。かすかなスープの香りがまだ残っているラーメンのどんぶり。引き出しに埋もれ、時の流れでリボンが細く伸びきったカセットテープ。

これらのオブジェは叫びません。形、傷、重さの中に記憶を宿し、静かに待ち続けます。デザインは必ずしもギャラリーやブティックの中にあるわけではないこと、そして時には日常生活の見過ごされがちな片隅に潜んでいることもあることを、これらのオブジェは思い出させてくれます。

ichinichi.studioでは、こうした気づかれにくいものがインスピレーションの源となることがよくあります。ハンドルの曲線、紙コップの凹凸、道路標識の色あせた文字。一度目にした細部の一つ一つが、インク、布、そしてシャツへと紡ぎ出される物語へと変化していきます。

ストリートウェアはしばしば派手なものを称賛しますが、私たちはささやくようなものに惹かれます。なぜなら、気づかれないものの中にこそ誠実さがあり、見過ごされるものの中にこそ美しさがあるからです。

気づかれない物体は、デザインが必ずしも発明ではなく、時には単なる認識であるということを教えてくれます。